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【関東新人戦準決勝❶神奈川vs.埼玉】ガマンの果て。清水ヶ丘が笑い、西埼玉ミスに泣く

2025.12.262025リポート
【関東新人戦準決勝❶神奈川vs.埼玉】ガマンの果て。清水ヶ丘が笑い、西埼玉ミスに泣く

 71分を要した準決勝の第1試合。1分もなかっただろうラストのプレーに、少なくとも3つのミスが重なって形勢がひっくり返り、幕が下りた。初回の失点以降、投手を中心に踏ん張った清水ヶ丘ジャイアンツ(神奈川)が決勝へ。西埼玉少年野球(埼玉)は、先発右腕の渡辺桜生が完投勝ちを目前に涙。新年の勝負へ向けて、『一球入魂』と出直しを誓った。

※学年未表記は5年生

(写真=鈴木秀樹、大久保克哉/文=鈴木秀樹)

■準決勝1

11月23日◇ノーブルホームスタジアム水戸

▽第1試合

西埼玉少年野球(埼玉)

 200000=2

 000102x=3

清水ヶ丘ジャイアンツ(神奈川)

【西】渡辺-會田

【清】長養、松﨑-松﨑、長養

二塁打/會田2(西)

【評】先攻の西埼玉は初回、二死から三番・武内瑛汰主将、四番・中村湊の連打に続き、會田健真が左中間に二塁打を放ち、2点を先取した。西埼玉の先発マウンドには、県大会から失点ゼロの渡辺桜生。この試合でも3回まで無失点投球を続けたが、粘る清水ヶ丘は4回、連打に続く敵失で待望の1点を手に入れた。その一方で、先発の長養陽輝から松﨑星太朗主将へとマウンドをつなぎ、西埼玉打線に追加点を許さない。迎えた最終6回裏、清水ヶ丘は二番・川崎晃輔が中前打で出塁すると、続く松﨑主将の当たりは球足の速い内野ゴロ。これを相手内野手が後逸、さらに外野手のカバーリングも間に合わずにボールは右中間を転々と転がった。そして川崎に続いて、松﨑主将もホームイン。劇的な逆転サヨナラで、清水ヶ丘が勝利を収めた。

1回表、西埼玉は二死一、二塁から會田が左中間を破る二塁打(上)。一走・武内主将に続いて二走・中村湊も生還(下)

清水ヶ丘の先発・長養(上)は2回から4回まで粘投で無失点。西埼玉の渡辺(下)は1人で投げ抜くことに

4回裏、清水ヶ丘は四番・塩田晃誠の左前打(上)に、五番・田原皐聖の中ゴロ(下=二走封殺)、敵失で1点

1点を追う清水ヶ丘は6回裏、川崎が中前打(下)。続く松﨑主将はゴロ打球が敵失を誘い、外野を点々とする間に二塁を蹴って三塁へ(下)

西埼玉は中継プレーも乱れて、清水ヶ丘は一走・川崎に続いて打者走者の松﨑主将が長駆生還。3対2でサヨナラに

 

―Team Inside Story―

悲願の全国経ての第二章。負けて得るものあり

第3位

にしさいたま

西埼玉少年野球

[埼玉県]

 失策のボールが外野のフィールドを転々とする間に、逆転の打者走者が一気にホームイン──。あまりにあっけない幕切れで、西埼玉少年野球5年生チームの関東大会が終わりを告げた。

 予想外の出来事ゆえなのか、試合後のあいさつで涙を見せる選手もほとんどいない。

「単純なプレーをド真剣にやれ。いつも言ってきたよね。試合前にも、言ったと思う。簡単なプレーも疎かにしない。そういう意味だ」

 3位の表彰式を終え、ベンチから引き揚げ、球場の外に出た選手らに向かい、綿貫康監督(=上写真)が語り掛けた。

「適当に捕る、適当に投げる。それがこういう結果になる。何も言わん。見ての通りだ。慢心をするな。いい薬じゃないか」

 一息ついた綿貫監督は続けた。

「キミたちはすごくいい経験をした」

 その表情には怒りもなければ、あきらめも見て取れなかった。

ベスト布陣ではなく

 チームの大黒柱である武内瑛汰主将が2週間前に負傷し、万全とは言えない状態で臨んだ関東大会。綿貫監督は「勝ち上がれば、2日目はダブルヘッダー。どう転んでも、厳しい戦いは避けられないという覚悟はありました」と打ち明ける。

 県大会から無失点投球を続けてきた渡辺桜生(=下写真)は、前日の1回戦に続いて先発。そして完投した。負け投手にはなったが、自責点はゼロだった。

「県大会を無失点で投げて、その後も練習重ねて、自分でもいいなと思う中でここまで来て、結果的には負け投手になってしまったけれど、自信もついた2日間でした」

 こう振り返った右腕の力投を、指揮官も認めてから詫びた。

「本来ならば、武内をリリーフで使いたいところでしたが、(負傷で)それもできず、好投を続けた渡辺には申し訳ない結果になってしまいました」

 この試合で五番に座った會田健真は、先制の適時打(=上写真)など、2本の二塁打を放って気を吐いた。あと数mで両翼70mの特設フェンスを越えようかという当たりも。武内主将が負傷の中、臨時の捕手としても奮闘。

「良いバッティングもできて、準決勝ではいいプレーができたと思います。キャッチャーの練習も続けたい」と、2日間の戦いで好感触を得た様子だった。

  チーム状態は万全でない中、あるいは、万全でなかったからこそ、得られた手応えもあった。優勝で終わることができれば、もちろんベストではあろうが、そうでないならば、どう「負ける」か──。最大目標である、2度目の全国に向けた戦いが始まる来春に向け、課題をはっきりさせた今大会の終え方が最善、と指揮官は考えたのかもしれない。

 それゆえの、「君たちはいい経験をした」という言葉だったのだろう。

肩を負傷中の武内主将は、1回戦は三塁コーチ(上)も務めた。準決勝は志願の出場でいきなり中前打(下)

 負傷の武内主将は、「まだ肩に少し痛みがある」中、1回戦は代打で出場、準決勝は「どうしても出たい」と志願し、初めて守る一塁に入り、チームメイトに声を掛け続けた。

「1試合目はベンチから、2試合目はファーストから、いつもとは違う角度で試合を見ることができて、勉強になりました」と話すキャプテンもまた、悔しさの中に学びがあった様子だった。

埼玉で初の快挙に向け

「埼玉ではこれまで、ノーブル(新人戦)とマック(全国予選)、連覇したチームはいないんだ」

 綿貫監督が再び、選手たちに語り掛ける。

「秋に悔しい思いをしたライバルチームが、今、必死で練習をしている。そして、来年は120%の力で、キミたちに飛びかかってくる。それを受けて立ち、勝ち切らないと全国には行けないんだ」

 今夏、積年の目標であった全日本学童出場を果たした西埼玉。新潟での戦いは2回戦で終わったが、来季はその経験も糧に、さらに上を目指す覚悟だ。

「ライバルは多いですからね。戦いが厳しいものであることは間違いありません。それを戦い、立ち上がれる力をつけないと」

 そう話す綿貫監督の頭には、すでにその青写真が描かれているようだ。

 ノーブルホームスタジアムの正面入り口にたたずむ、水戸市出身である“学生野球の父”飛田穂州翁の胸像。その前にナインを集めた綿貫監督は「この人が『一球入魂』の名言を残した人だ。みんな、今日の思いを忘れないようにしよう」。来季に向けた一歩は、もうここから始まっているのだろう。

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